呼吸器診療
呼吸器診療
呼吸器診療は、主に気管支、肺など呼吸器系を中心に診療します。
身近な病気としては、気管支炎・肺炎・結核などの感染症、気管支喘息・慢性閉塞性肺疾患(COPD)・間質性肺炎などの呼吸苦を伴う疾患、肺がんなどの診断、治療を行います。
・長引く咳
咳の原因の多くは風邪や気管支炎などの急性の感染症で、通常は2週間以内におさまります。しかし、2週間以上続く場合は、症状が軽くても、結核、喘息、肺がんなどの可能性があり注意が必要です。
・咳・痰
気管支炎・肺炎などの感染症のほか、長引く場合は慢性閉塞性肺疾患(COPD)など
・血痰
結核・気管支拡張症・肺がん・肺分画症など
・息切れ、呼吸困難
喘息、COPD、間質性肺炎、肺塞栓症など
これら全ての症状は、新型コロナ感染症の症状でもあります。
発熱、咳、嗅覚障害といった代表的な症状以外にも、無症状から呼吸困難に至る場合もあります。気になる症状があれば早めに相談してください。
主な疾患
①気管支喘息
一時的に空気の通り道である気管支が狭くなり、「ヒューヒュー」「ゼーゼー」と呼吸が苦しくなる状態(いわゆる発作)を繰り返す病気です。夜間や早朝、季節の変わり目に咳などの症状が悪化することが多いのが特徴です。気管支喘息の患者さんの気管支には慢性的な炎症が起こっていることが分かっており、治療には気管支拡張する薬と炎症を抑えるステロイド剤の吸入を行います。喘息の体質そのものは変えることはできないため、治療の目標は日常生活に支障がないように症状をコントロールすることです。自宅でのピークフロー値測定により、気管支喘息の状態を把握し、より適切な生活療法・薬物治療を行う事が可能となります。
→ピークフロー測定と喘息治療
➁慢性閉塞性肺疾患(COPD)
喫煙が原因で気管支に慢性的な炎症、狭窄が起こり肺が壊れていく疾患で、日本の男性の死因の第8位(2019年)です。喘息との違いは、喘息の気管支狭窄は一過性なのに対して、COPDの狭窄は不可逆性であるところです。進行を防ぐには禁煙が必要です。禁煙した上で、気管支拡張薬の吸入を行うことで症状を緩和することができます。
→禁煙外来
③肺炎
肺炎で最も多いのは高齢者の誤嚥性肺炎で、最も多い死因の一つです。食事中に明らかな誤嚥がなくても、寝ている間に唾液が肺に流れ込むことでも起こります。就寝前に口腔内を清潔にすることが予防に効果的です。重症化しやすい肺炎の原因としては肺炎球菌があり、65才以上ではワクチン接種が推奨されています。若い人でもかかる肺炎ではマイコプラズマ肺炎があります。以前はオリンピックイヤーに流行していましたが、最近は周期性がみられなくなっています。
④慢性呼吸不全
COPDや間質性肺炎が進行し低酸素血症状態に陥り、息切れが強くなった場合は、在宅酸素療法を行います。当院では慢性呼吸不全に対する在宅での酸素吸入治療(在宅酸素療法)に対応しておりますので、ぜひご相談ください。感染等併発し、呼吸不全が増悪し入院が必要な場合は病診連携を行い、急性期医療機関に紹介等対応していきます。
⑤睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に一時的に呼吸が止まることによって引き起こされる睡眠障害の一種です。通常、この症状は気道の一時的な閉塞によって起こります。それに伴い、日中の眠気や倦怠感、生活の質の低下や、また、心血管疾患や心不全などの発症リスクになるということもわかっています。睡眠時無呼吸症候群は自分ではなかなか気づきにくい疾患です。「いびきが大きい」とご家族に指摘されたことが受診のきっかけとなる患者さまがほとんどです。閉塞性の無呼吸の場合、治療は体重減量や側臥位睡眠などの生活指導からはじめます。また空気の通り道と肺に圧力をかけて肺が膨らみやすい状態をつくる小型の機械を就寝時に装着する治療(CPAP療法)もあります。当院では睡眠時無呼吸症候群に対する在宅でのCPAP療法に対応しておりますので、ぜひご相談ください。状態が変化し必要な場合は病診連携を行い、急性期医療機関に紹介等対応していきます。